取られた碁石
個目 (T_T)





お手並み拝見


なんと最近ではゲームセンターに囲碁ゲームがある。暇潰しに高崎駅前のゲームセンターに入ったら偶然見つけたのだ。その名も「お手並み拝見」という怪しさ抜群のゲーム。生意気にも九路盤と十三路盤の選択が可能らしい。しかもレベルに応じた対戦相手を選択できるようだ。その中には「醜いオバサン」や「不細工なスーパーマン」としか呼びようがないキャラクターがいた。全部でなんと8人も用意されている。ホントに強さが8段階違うのだろうか? ううむ、嘘くさい。

ちょっと興味が沸いた私は百円を入れて、一番レベルが高い「不細工なスーパーマン」と十三路盤で対戦。こう見えても私は囲碁四段 (数少ない自慢) 。日本棋院八重洲囲碁センターや怪しい囲碁サロンでバイトしていた事もあるのだ。

対局開始、スーパーマンは小目。私はセコく三々。そうしたらスーパーマンはなんと向い小目を打ってきた。「ふむ、ゴライアスよりは強いかもしれない」とちょっと警戒する私。セコくダブル三々で対抗する私。カカリがきたからハサミで攻めると、なんと手抜かれてしまった。\(@o@)/げっ

その後も意味不明な場所に打ち続ける最強レベルのはずのスーパーマン。ゴライアスより全然弱いと見切り、余裕ぶちかましの私。石を獲りまくってどんどん差を広げていく。うむ、弱いものイジメは楽しい。実に楽しい。ホントに楽しいのだ。しかし突然ある事に気がついた。

「しまった! このままでは負ける!」

そう、このゲームの本当の敵は制限時間だった。100円投入で持ち時間2分ちょい、しかも秒読み無しという厳しさ。思考時間ゼロのノータイムで打っても、レバーで打つ場所を指定する間に持ち時間が減ってしまう。そして持ち時間がゼロになったら私の負けなのだ。急にレバー操作に気合が入る私。もはや余裕なんかどこにもない。格闘ゲームなみのレバー操作で打ちまくる。多少の損や間違いなんか無視。絶対にコウにしてはいけない。

そして私は勝った。残り持ち時間7秒。13路盤で35目以上の大差をつけての勝利だった。しかし棋士に休息の時はない。すぐ後に次の勝負が待っていた。頑張れ私! 次は持ち時間7秒 (1試合目の残り) 。もちろん秒読みなしだああああ!

「…もう2度とやらん」 ← 30秒後の私のコメント




碁会所へGO!


碁が打ちたくなったので碁会所へ遊びに行く事にした。初めて入る碁会所なので、気分はほとんど道場破り。なにせ私は囲碁四段!(数少ない自慢) 。そこらの小さな碁会所なら頂点を狙えるレベルなのだ。しかし…、

お婆さん 「いらっしゃいませ」

受付にいたのは見るからに人が良さそうなお婆さん。どうやらこのお婆さんがこの碁会所のマスターらしい。私の精神テンションは「道場破り」から「老人介護サービス」へと急速に切り替わった。愛想よく席料の700円を払って簡単な登録を済ます。お茶も自分で汲んで飲む。

お婆さん「あら四段なの。じゃあ吉田さん(仮名)にお願いしなきゃね」

碁会所のマスターの仕事はマッチメークである。なるべく実力が近い者同士を組み合わせて対戦させるのだ。「吉田さん」と呼ばれた私の対戦相手は白髪70%の老人で、あのムツゴロウによく似ていた。ハッキリ言って怪しすぎる。このジジイ、カタギの人間なのか? 碁会所にはこういう得体の知れない常連客がよくいる。ある意味雀荘よりコアな場所なのだ。

私 「よろしくお願いします」
長老 「んー」

礼儀のカケラもない偉そうな挨拶は無視して、とにかく対局開始。先番の長老が打った初手は…なんと天元だった。囲碁を知らない人のために解説しよう。普通、囲碁は隅から打っていくものなのだ。なぜなら隅をとる方が圧倒的に有利だから。その為、初手で天元(ど真ん中)というのは非常に珍しい。こういう手を打つ人を分析すると、大体以下のタイプに分別される。

1. 単なる馬鹿
2. 単なる初心者
3. 単なる目立ちたがり屋
4. 変な美学を持っているナルシスト
5. 相手をナメきっている自信家

長老はおそらくタイプ5だ。ナメられていると感じた私は即座に天元横にツケ! 対する長老はハネ! 私は迷わずキリ! あっという間にオセロの初期配置のような形になってしまった。横ではギャラリーがのけぞって爆笑している。そりゃ笑いたくもなるだろう。こんな対局、一生にそう何度も見れるもんじゃない。


  


囲碁は「手談」と言われる。これは「お互い言葉を交わさなくても、盤上に打つ1手1手で意思が通じ合う」という意味である。ではこの時の対局を言葉にするとどうなるのだろうか?試しに初めの4手を解読してみると、こうなる。

長老 「フン、よそ者の若造が。ハンデで天元に打ってやる。感謝せい」
私 「コラ、ナメとんのかジジイ。ハンデなんかいるか! ツケてやる」
長老 「ツケてきた? 小僧め生意気な。粉砕してくれる!ハネでも食らえ」
私 「ハネやがったな!? こうなったら戦争だ! 斬れ! 斬り捨てろ!」

長老も私も無言で行儀良く打っていたのだが、盤上はもはや阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。長老は隅に打たない。もちろん私も打たない。これはもはや意地の張り合いなのだ。ひたすら超接近戦。お互いツケ、ハネ、ノビ、キリのみで戦い、それ以外は1間トビすら使わない。幕ノ内一歩もびっくりのインファイトである。

そして私は勝った。最後まで戦いぬいて2目半勝ち。あんなメチャクチャな対局がなんでこんな細かい勝負になったんだろう?今でも不思議でならない。長老は「もう1回打とう」と言ってきたけど、やなこった! 私はもっとまともな人と普通の囲碁を打ちたいのだ。

幸いな事に、手空きの人が「1局お手合わせしてもらえますか?」と申し出てくれた。スーツ姿の痩せた中年男性で、なんとなく紳士的な印象を受けた。私は「こちらこそよろしくお願いします」と応じて長老から離れる。やれやれ、これでやっとまともな碁が打てそうだ。

紳士 「私が先手ですね。ではお願いします」
私 「よろしくお願いします」

紳士が打った初手は…天元だった。

こんな碁会所、2度と行くもんか。




私 VS 梅沢由香里プロ


「ヒカルの碁」を知っているだろうか? 週刊少年ジャンプに連載中の囲碁マンガである。「なーんだ、マンガかよ」と侮ってはいけない。「ヒカルの碁」は日本囲碁会の総本山である日本棋院が、その総力を上げてバックアップしている作品なのだ。

この「ヒカルの碁」の監修をしているのが梅沢由香里女流四段。日本棋院が誇るビジュアル系女流プロ棋士であり、「この娘がいなかったら囲碁人口が3%は減っていたのではないか?」と言われるほどの存在である。人呼んで“日本棋院の最終兵器”。この由香里ちゃんが監修をしている事からみても、日本棋院が本気でこのマンガに賭けている事が伺える。

実は私はこの由香里ちゃんと対局した事がある。某大学の学園祭のイベントで指導碁を打ってもらったのだ。由香里ちゃんは3面打ちで私の置き石は6つ。要するにかなり大きなハンデを貰ったのだ。当時私はアマチュア2段だったので、頑張れば結構いい勝負になるんじゃないかなーと思っていたのだが…。

15分後、右上スミ大破! 被害20目以上!
20分後、左辺爆発炎上! 被害甚大! 算出不能!
25分後、中央壊滅! デスラー総統バンザーイ!

わずか30分の間に次々と死んでいく私の黒石。普通、指導碁ならもうちょっと優しく打ってくれるハズなんだけど、どうやら次の人が順番を待っていたためサクッと潰してくれたらしい。局後の検討で「この時にちゃんと守っておくと良かったですね(^-^)」と、自らが行った大量虐殺を一言で片付ける由香里ちゃん。

カワイイふりしてあの娘〜 わりと殺るもんだねっと〜♪




決戦当日


今日は囲碁の地区大会。待ちに待った闘いの日である。この日の為に日記を書くのをサボり、チャットもほどほどにしてWWWGOで特訓をしてきたのだ。勝負服のNOFEARシャツ(新品)を着こみ、いざ出陣! 開始5分前に会場に到着。おお、結構人が集まっているではないか。

私 「囲碁の参加者は何人ですか?」
係員 「3人ですね。総当りでやって下さい」

バカな! 3WAY DANCEをやれと言うのか!?

どうやら集まった人の大半は将棋側の参加者だったらしい。囲碁人口はやはり悲しいほど少ないのだ。しかし去年は参加者が私1人だったのだから、それを考えれば上等かもしれない。さて、私以外の2人はすぐ見つかった。1人は1級らしい。もう1人は・・・ご、5段だとぉ!? ちょっと待てコラァ! ワレどこの組のヒットマンじゃああ!?

ともかく対局を開始しなければ。5段が出てくるとは予想外だったけど、幸いな事にこの大会は置碁だ。置石の力を借りればなんとかなるかもしれない。まてよ、そうなると1級の人と打つ時は石を4つも置かせる事になるのか! うわ、コリャ厳しい闘いになりそうだ。

ではその時の棋譜を一部紹介。私が勝負手を打ったところまで。


  


  


結果は…おめでとう! 3位入賞!(爆)

よーするに2試合とも負けたんだよお。1級さんとの対局は4目差で負け。序盤に定石の選択を間違えて、ムリヤリ切った石が攻められてしまったのが痛い。その後ジワジワと反撃したけど惜しくも届かなかった。5段さんとの試合はポカミスで負け。序盤、キリを炸裂させて圧倒的なリードをGETTしたんだけど、終盤で大ボケかまして大破炎上。なんかスクールボーイで丸めこまれたような気分。あーもったいない。以上、負け惜しみ終わり!

自分の対局が終わってヒマになったので、同じくヒマそうにしている将棋の人(2段)と将棋を指したら、なんと相手のミスで私が勝ってしまった。「将棋で出れば良かったのに」と言われても嬉しくない。くそう、世の中間違っているなあ。

なお、参加賞はタオルだった。実用的なのでちょっと嬉しかった。




決戦前夜


囲碁の地区大会の日が近づいてきた。この大会は数社の企業間で毎年行われているものであり、優勝者には県大会への出場権と豪華賞品が送られる。プロレス風に言えば「団体の枠を超えたオープントーナメントの予選ブロック」となるのだろうか。各企業の名誉と誇りをかけた全面戦争がいよいよ始まるのだ!

↑ こう書くと実に格好いいのだが、現実は極めて寒い。なにせ去年の優勝者はこの私だ。しかも全試合不戦勝での優勝。つまり出場者が私しかいなかったワケだ。1手も打たず、相手の顔を見ることも無く、会場に行くことすらなく、オマケに参加費も払ってないのに優勝。無敵! 文字通り無敵ィィ!

その時の豪華賞品は賞味期限10日前のボンレスハムだった。全く同じモノが近くのスーパーの半額セールで売られていたけど、多分関係ないだろう。たとえ関係あったとしても、参加費すら払わなかった私には文句を言う資格は無い。それにトースターで焼いた厚切りハムはそれなりに美味しかった。きっとあれが勝利の味だったのだ。いや、不戦勝の味か…。

さて、今年の地区大会は今週末に開催される。組合から「人数足らないから中止だよーん」というふざけた電話が来ないところをみると、どうやら私以外にも参加者がいるらしい。「フハハハハ! 前年度覇者の私が貴様らをまとめて叩き潰してやる!」と言いたいところなんだけど、状況が激変してしまった。今年から予選は置碁(ハンディキャップマッチ)になってしまったのだ。

仮に囲碁四段の私をジャイアンとするなら級位者はのび太クン程度である。しかしのび太クンが拳銃を装備しているとなると、いくらジャイアンでも苦しい。ハッキリ言って勝つ自信が無い。くそう、こうなったら特訓だ! 週末までに忘れた基本定石を全部思い出さなければ!